ぎっくり腰とは
みなさんはぎっくり腰と聞くと腰が急に痛くなり、腰の骨や背骨の関節に異常が発生したものと思われがちですが、実は腰周辺の筋肉や筋膜が損傷してしまったことによる”炎症”で痛みが発生していることがほとんどであることをご存じでしたか?
ぎっくり腰は、正式には”腰部の捻挫”や”腰部の筋の炎症”のことを指し、例えば下の物を取ろうと屈んだ際や朝起き上がろうと体を動かした際、重い物を持ち上げようと中腰で力を入れた際に急に痛みが強く出る腰痛がこれに当てはまります。
普段重い物を持たない方が急に重い物を持ち上げる際にぎっくり腰になることが多い印象がありますが、年代関係なく若者から高齢者までの幅広い年代で起こりうる可能性があります。また、ぎっくり腰は突然強い痛みが発生することから、海外では”魔女の一撃”とも言われています。
ぎっくり腰のメカニズム
腰というのは、捻る・屈める・反るといった動きをする際に、その周辺の筋肉が伸びたり縮んだりすることで動かすことができます。その際に、何らかの原因により筋肉が固まり十分に伸び縮みできないにもかかわらず無理な伸び縮みがかかる、急な激しい動きでいきなり筋肉が強い伸び縮みをさせられるといった負担により、筋肉やそれを覆う筋膜が損傷してしまうことで炎症が起き、ぎっくり腰になります。
どこを傷めるの?
このようにぎっくり腰は筋肉や筋膜の損傷によって起こるわけですが、特に損傷が起きる筋肉としては脊柱起立筋や腰方形筋が代表的なものとして挙げられます。脊柱起立筋は頭蓋骨から骨盤までついてくる筋肉で、腰方形筋は肋骨から骨盤についてくる筋肉です。
どちらの筋肉も立っている際、座っている際に常に姿勢を保つために使う筋肉のため、ぎっくり腰になると立っているだけ、座っているだけでも痛みが強い場合があり、重症になると寝た状態から起き上がることができない方もいます。また、これらの筋肉はお尻や太ももの筋肉と同時に使うことが多いため、痛みが腰だけでなく、お尻や下肢(太ももやふくらはぎ)にも広がることがあります。
痛みはどれくらい続くの?
ぎっくり腰は、ほとんどが筋肉または筋膜の損傷による炎症での痛みであるため、安静にしていれば痛みは約1週間から2週間で自然に減少していく事が多いです。しかし、痛みが全く減少しない場合や下半身にしびれ、力を入れることができない(入れづらい)といった症状もある場合などは、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などといった疾患の可能性も考えられます。
どういう人がなるの?
ぎっくり腰は、人生のどこかの段階で誰もが一度は経験する可能性があります。実際に、成人の約80%が一度はぎっくり腰を経験すると言われており、その発生頻度は年齢と共に高まり、特に中年以降の方によく起こるとされています。これは、年齢とともに筋力や柔軟性が低下し、骨や関節の変化が進むためです。
また、肥満の方や重い物を普段から頻繁に扱う仕事の方、不適切な姿勢(反り腰や猫背)や動きを普段からしてる方、運動不足で体を動かす頻度が少ない方などもぎっくり腰になりやすいとされています。さらに、体が冷えやすい方もぎっくり腰になりやすいとされています。実際に、冬になるとぎっくり腰の発生頻度が増える傾向にあります。
まとめ
このように、ぎっくり腰は突然の強い痛みによって生活に大きな影響を与える症状です。しかし、早めに適切な対処を行うことで、早期に回復することも可能となります。そのためには、ぎっくり腰がどのようなものなのかしっかりと把握し、適切な対処法を知ることが大切となってきます。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。